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とうとう買ってしまった
【クルマを納車編】
私はとある駅舎に降り立った
駅員がポツンと一人だけいる小さな駅だった
特に用もない場所なので、その駅で降りたのはこれが初めてだった
何故、この駅をわざわざ訪れたかというと
今日は記念すべき
納車の日
店長が 「日取りは気にしますか?」
と聞いたので
「べつに13日の金曜日でもいいですよ」
と答えた
私は方位だのお日柄だのまったく気にしない
しかし、何気に手帳を見ると
今日は
仏滅ではないか
・・・やはり いい気はしない
帰りに神社寄って、交通安全のお守りでも買っておくか
そんな事を思いながらテクテク歩く
納得する物が見つからなかった場合は茨城県まで足を伸ばす覚悟だったので
我が家からそう遠くない店で
意中のクルマを探せたのは案外ラッキーだったかもしれない
駅からそんなに遠くない事も幸いだった
(でも、1.5キロはある)
店長が「駅まで迎えに行きますよ」とか言っていたが
いやいや、健康の為に歩きますよ・・と断った
そう、私は謙虚な男なのだ・・
とりあえずネットで県内の中古車在庫を調べ、
いくつか候補をピックアップし
休日にそれらの実車を見て周り、吟味して決めようと計画をたてた
早速、ネットの情報を元に我が家から一番近い中古車屋を訪れてみると
そこにはお目当ての車種が4台展示してあった
年式はほぼ一緒、価格差は多少あるが、どれもなんとか射程距離内
色はシルバーが2台、あとは白とブルー
どれも、そこそこ距離は走っているがボロいとは感じなかった
私はその中の1台に引き寄せられるように近寄った
そして、ぐるりと一回りしながら傷や凹みをチェックしていると
「4WD をお探しですか、ターボ付きなんでパワーありますよ」
と揉み手をしながら男が近付いてきた
この店の店長らしい
更に店長のセールストークは続く
「これからの時期、市場でも高くなるんですよね、その手のクルマは
うちは少し前の安い時期に仕入れましたから、よそよりお安いかと思いますよ、ヘヘヘ」
・・ほんとかいな? と思いながら内装をチェック
年式相応のヨレはあるけれど、気になる程ではない
「どうぞ、エンジンかけてくださいよ」
と店長が言うのでキーを回すと
ツインカムの4バブルが「ブオオオ・・」 と
小気味良いエグゾーストを奏で始めた
まるで赤ん坊の産声を聞いたように
私の頬がニヤリと緩む
マフラーを替えてあるようだが、車検対応品ということで喧しくはない
機関からの異音と排気ガスを確認したが特に問題は無いように思えた
二言三事、店長のセールストークを聞いたが内容は忘れてしまった
店長のセールストークが終わった頃
「・・いいか・・これで」 と彼に告げた
結局、他の車は特に見ずに
訪れた一軒目の一台目で即決してしまった
5、6千円の物は手にとってレジに向かったり戻ったりを繰り返し、
結局買わず、ああ、やっぱり買っておくか、とぐずぐずと何日も悩み
家族で飯を食う時は、・・あっちの店、いや、こっちの方が安そうだ、いや、やはり・・
などと決められず、ぐるぐると彷徨い、家族に冷ややかな視線を送られるこの私だが
こういう大きな買い物はわりとすぐに決めてしまう
TDM の時もそうだった
別に思い切りがいいわけじゃないし、決断力がある訳でもない
基本的に私は
まあ・・いいか・・
なのだ
要するに
妥協が早く、
めんどくさがり屋なのだろう
それが歳取る程に強くなっているような気がする
めんどくさがり屋というのは、ある意味
根気がない証しかもしれない
そのせいか仕事は長続きせず、カミサンには苦労をかけた・・
そうだ、そう言えばカミサンにクルマを買う事を言ってなかった
まあ・・いいか・・事後報告で
そうそう、妥協が早いといえば高校時代の担任が
「いいか只野、弱い人間ほど、妥協が早いんだぞ!」
とかよく言っていたのを思い出す
・・どうしましょう先生、どんどん弱くなっちまいますわ・・
そんなどうでもいいことを事をぼやいていたら中古車屋のすぐ近くまで来ていた
あの県道を右に行ったらすぐのはずだ
少しばかり気持ちが昂っているのが分かる
あのクルマを契約してからというもの、日常に
心の高揚を感じていた
金のある人にとっては「フン」と鼻で笑ってしまうような価格かもしれない
ただ、今の私にとっては精一杯無理をして手に入れたクルマなのだ
ここ数年というか、子供が出来てからの16年というもの
クルマは仕事の足、家族の足として選んできた
本当に欲しい物はどこかに仕舞いこんで、欲しい物ではなく必要な物
選ぶのは車両価格が安く、維持費が安そうな見た目のパッとしないファミリーカー
娘が小さい時は
「このクルマなんてクルマ?」
と 聞かれると
「・・ポルシェだよ」
などと適当な返答をしていたが、
ただ、ガキも大きくなってしまうと
・・うちのクルマ、友達の家のクルマと較べるとショボい・・
というのが分るらしい
娘を塾などに迎えに行くと
当然、田舎なので他の親達もクルマで迎えに来ている
それが皆、けっこういいクルマに乗っていたりする
そんな時、我が娘は速攻で乗り込んで来て
「早く発進させてよ、早く!」 などと急かせるのだ
子供にも見栄というのがあるのだろう
そん時思った
・・わしだってな、好きでこんなオバサン車乗ってるんじゃないぞ
・・と
もう・・
まっぴらごめんだ
これからクルマ選びは
男のこだわりを貫かさせていただく
それは
ツインカムターボ、プラス4WD
この条件にあらずんば
クルマにあらず!
して
そのクルマは・・
もう、だいたいお分かりであろう・・
これだっ!
じゃじゃあーん
フフフ
これから私は ただのおじん改め
ランエボ使い と改名しましょう
こいつで峠の走り屋小僧どもを
かるく ぶっちぎってやりますわ
ブログのタイトルも
「峠のキング」 に変えようかと思います
アハハハ
・
・
はあ?
おい、つまらん冗談はやめろ
ですか・・
そもそも おまえ 金ねえから
軽自動車くらいしか買えねえだろう
ですか・・
やはり わかりますか・・
ウソっぱちだって
失礼しました
m(_ _)m
店を訪ねると
「どーも、どーも、お待ちしておりました」
と店長が迎えてくれました
車検証と簡単な説明を聞きながらクルマの
鍵を受けとった
その
クルマとは
林道キング
JIMNY JB 23W-1
じゃじゃあ~ん
偶然にも
愛車1号機
シェルパちゃん
愛車2号機
じゃじゃ馬TDM 850
3台揃い踏みの
1999年生まれとなった
・・20世紀のメカにどうも縁があるようです
そして、私が手放したら、おそらく
誰も引き取り手のいないだろう 3兄弟
私も にわかジムニスト なので間違っているかもしれないが
ジムニーは発売して40年、まだ2回しかフルモデルチェンジをしていないらしい
(マイナーチェンジはしている)
つまり、私のは現行モデルにあたるのであろう
(17年落ちだが・・)
角ばった無骨な先代JAシリーズ のスタイルから
このJB23は丸みを帯びたソフトなイメージに一新
ただ、あの無骨さが好きだったジムニーファンに
このガイコツフェースはあまり快く思われなかったようだ
メーカーもそれを察知したのか
マイナーチェンジ後の現行モデルの顔は違う
そう、この年式のジムニーを買うならば、
賢明な方はもう少し前の角ばったJAシリーズを買うのかもしれない
でなければ故障のリスクの少ないもっと新しい年式
つまり、この年式、JBシリーズになりたてのこのJB23W-1型は
人気者ジムニーの中にあって、
不遇のモデル
したがって、比較的
安い
不人気モデル購入は
私の得意技
(シェルパしかりTDM850)
なので、自分にはこの年代しかない
と思っておりやした
それに・・
フフフ、これですよ これ
寺崎先生の愛車 ロシナンテ号と同型、同グレード、色も同じ
最初に惹かれたのはこれが理由かもしれません
寺崎先生も
「安いジムニー探してきて」 とオーダーしたら
このロシナンテ号が来たらしい
ボンネットを開けてみた
ターボがちゃんとついている
(あたりまえだろ)
アクセルを踏むと ひゅい~~ん ちゅう音がしますな
おっ 「ターボだ ターボだ」 と少しはしゃいでしまいましたぞ
このターボ車ってのもかなり久しぶり
・・たしか7thのスカイライン以来か
そして この
5速 MT
これですよ
このマニュアルなど乗るのも、十数年ぶりですがね
いいんですよ、ボケ防止にこれが、燃費もいいし、
アクセルとブレーキ踏間違えないし・・
70歳以上はオートマ禁止にしたらいいと私は思っておりますよ
まあ、このシフトノブは水中花のやつに替えさせてもらいますが
そんで
ETC 装備
このETC 、多分、女性の声なんだろうけど、すごいダミ声で
「・・ガードがはいっで・・まぜん」 とかいきなり言うもんだから
おいおいオバケの声かよ、とちょっと驚いてしまった
そんで、一応カーナビもついていた
地図を眺め、あれこれ悩む旅が好きなので
カーナビは要らないかなと思ったが、
まあ、付いているに越した事はない
・・しかし、当初の予算を
(三十万ポッキリ)
かなりオーバー
・・でもまあ、
こんな古い軽自動車、1台位買ってもバチ当たらんでしょう
毎日汗水垂らしてせこせこと働いているんだから
一月早い自分への誕生日プレゼントてなもんです
ただ、寺崎先生の書籍読むと、ロシナンテ号こと私と同型のJB 23
しょっちゅう壊れているんだけど
大丈夫なのだろうか?
保証は一月しか付いてないし・・
早速、ワイパーに付いてあった部品がポロッと取れた
・・なんだ これ?
・・ 大丈夫かいな
そんで、最後のオチは・・
ほんとはこのクルマ、スタッドレスタイヤが積んであったんですよ
・・おお、これで雪中キャンプ行けるわい
ソロスノボキャンプ行ったろかいな
って少し喜んだんですがね
ところが、当日
「申し訳ございません、積んであったタイヤ、ジムニーに合いませんでした・・」
とか店長が言い出しましてな
ええ、ぜんぜん別の車のスタッドレスが積んであって、
当日まで気が付かなかった、という訳ですわ
「なんじゃそりゃ、サギやんけ こらっ」
・・とは言いません
「・・まあ、いいか・・」
となりました
仏滅の祟り・・そう思いました
ではまた
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