「休日野外生活」日記　

  

静かな朝だった・・




私は台所で「トントン」とキャベツを
刻んでいた・・

じつは 自分用の弁当を作っていたのだ

私は俗にいう弁当男子、いや、弁当オジジ



そして、ふと、思った。


ふと・・





バイクで・・

暴走してえ・・

・・と



何故か・・そんな言葉が脳裡に浮かんだ


決して、尾崎豊の曲を聞いた訳でも、

バリバリ伝説のDVDを見た訳でもない、

そもそも私はいたって安全運転だ、

免許もゴールド、

そんな私がふと、そんなことを思ってしまった。



車で走りに行けば？

答えは NO


車ではダメなのだ、

あくまでもバイク。



スロットルを開け、風を身体に受けて加速する

スピードに圧倒され

・・転けたら死ぬかもな・・と、

ビビりながらも

更にスロットルを絞る

だんだんと視界が、狭まるあの感じ・・



あの感触がやけに懐かしい・・






長引く不景気、会社での待遇は

永久末端社員、

収入アップなど到底 見込めない

娘からは父親へのリスペクトはゼロ・・

そんなフラストレーションからか、

それとも老いへのささやかな抵抗か

理由は解らないが無性にバイクが欲しくなった


時が経てばその願望も収まるだろうと思っていたが、

その思いはますます強まるばかり・・


我慢出来ないので

「おもいきって　買っちゃうか・・」 と

とうとう購入を決意してしまった。


無論、妻には内緒だ、

事後報告でいいだろう。



バイクを降りて１５年・・

当時乗っていたカワサキの９００はマイホーム資金に消えた



とりあえず今はどんなもんか？と、自宅から一番近いバイク屋、「赤男爵」

を覗いてみた。



接客してくれた店員のあんちゃんは

私の懐具合を察したのか、走行距離7万オーバーの

250cc のオフ車を「20万ポッキリです、チョーいいっすよ～」

と薦めてきた








そこでひとつの 結論


・・高くて買えん




20万の金を私の薄給から絞り出すのは不可能ではないが

妻にバレたらなんと罵られるやら・・・



しかもそんな思いをして走行距離7万キロオーバー

名車でもなんでもないただの不人気車だ。

そんな解体屋か東南アジアに持ち込まれそうなバイクとは・・・・




現実の厳しさに

「やっぱ、やめっか」と

一旦は諦めようとしたが



しかし、購買意欲は強まるばかり


そんな折り

ヤフオクでバイクの取引が出来る事を知った



安価な物は一度利用した事はあるがバイクが購入出来るとは 知らなんだ



「ヤフーオークション、バイク購入」というワードを

ネットで検索してみると


「初心者は止めておいたほうが良い」

だとか

「バイク屋で買ったほうが無難」

だとかの意見が多かった。



・・だが

リスクを承知でヤフーオークションで購入することに決めた



金が無いのでこれしか選択肢がなかったのだ




なるべくハズレを引かないように、自分なりに研究した



狙うは250ccのバイク。安めの750ccも検討したが

ナナハンはそれなりに価格ははるし、車検も面倒だ





当初候補だったバイクはコイツ

ホンダFTR

本来はダートラバイクだがストリート系に分類されているようだ


こういうシンプルな奴が好きなのだが、

ところが・・・




ヤフオクに出品されているのは

スカスカチューンだのロンスイカスタムだの称して改造している車輌ばかり


極端な例だがこんな感じ



しかも町中でコイツに股がっているのは


ズボンをコシ履きしてるようなアンちゃんばかりだ



50代を目前にしたオヤジが乗るにはどうも抵抗感が出てきた。


それに

「おい、おい、オッサンよー、ずいぶん
とっぽい単車コロがしてんじゃねえかよ」

という オヤジ狩りに遭遇してしまうかも・・

そんなしょーもないマイナス思考が頭の中をぐるぐる駆け巡り、

結局候補から外れてしまった。





狙いは年式の古いジｪベル200やXLR、セロー等の

安めで安全な?オフ車に絞った




経験を重ねていくうちにオークションのコツと相場、それと奥の深さが

だんだん解ってきた。




終了30分前が勝負なのだ、ここで引くか突っ込むかで

いい取引が出来るか決まる。



私は根っからの貧乏症のせいか、あと5000円が突っ込めなくて

いつも落札出来ずにいた。


「これはいかんな、もっと強気に攻めねば」

と思い始めた頃、ある出品に目がいった


オークションの終了は土日の夜9時、10時頃がもっとも多い

この時間は在宅者が多く閲覧も多いのだろう

しかし、この出品は何故か終了が朝の7時30分になっていた

しかも出品は少し辺鄙な所　
（すいません自分も辺鄙な所住んでます）


・・もしかしてこれはライバルが少ないかも・・、


と思い早朝、パソコンを開いた

･･ビンゴだ

予想どおり終了50分前で入札は昨日からの1件のみ

そこで予算ギりの金額を｢おりゃっ｣と気合をいれ、入札すると

あなたが最高入札者です、と表示された。



そこから30分、

通勤電車の中でカウントダウン



もう、お金はこれ以上は出せないので見てもしかたないのだが

気が気ではないので見てしまう




そしてタイムアップ

おめでとうのメールが届く


頭の中で　「パンンパンパカパーン」　とロッキーのテーマが鳴り響き

「捕ったどーーー」と心の中でガッツポーズ




が・・単純に喜んでもいられない

なにしろ現物を見ていないのだから・・




取引はスムーズ進み



引き取りは１２月１６日となった

はたしてどんな代物か？

吉と出るか凶とでるか、引き取りの日が近付くにつれ、不安に苛まれる



前の晩にレンタカーを借り朝5時出発







利根川を渡り茨城県へ







途中大洗にて休憩



昨日とうって変わって、いい天気だ

さらにここから北へ進む







常陸太田市に到着

出品者はここに住んでいる




事前に調べた地図のおかげですんなりと到着





田園地帯、５～６件の集落がありその中の１軒だった。


出品者は私より１０歳ほど若く、地元訛りのある、人の良さそうな感じだった

まともそうな人でホッと胸を撫で下ろす




彼がガレージを開けると

所狭しとバイクが置いてあった


ＺＸ９Ｒ

ゼファー１１００

もう一台シートがかけてあるので車種は解らないが

それもカワサキ車だと言う



生粋のカワサキ乗りらしい


そしてもう１台、落札したバイクが

私を待っていたように可憐に佇んでいた。





「いいやあ、林道走ろうとか思って、買ったんだけんどもなかなか乗らなくてね～～」

「へーーそうですか・・思ったよりも綺麗ですね」

「エンジンも調子いいっぺよ～」

と言ってエンジンをかけてくれた。


とくに異音等はなく吹け上がりも快調だ




正直、外見はボロくてもエンジンさえまともだったらＯＫ、と思っていたが、想像以上の状態の良さだった　



もちろん１３年落ちのバイク、タンク等に小さな傷などはあるが、

これはオフ車、ピカピカに磨いてウットリ眺めるバイクではない

ガンガン走らせてなんぼの、旅の相棒なのだ





荷台に乗せるのを手伝ってもらってロープで固定する



「じゃ、気をつけて帰んなよ～」

と見送ってくれた













ゲットしたバイクは・・・











こいつ





カワサキ　スーパーシェルパ





シェルパとは山岳民族


ようするに道なき道も走れる
トレッキングバイク








マフラーが交換されていた

ＲＳＶマフラー


暴走するのにはもってこいだ （ニヤニヤ）

ノーマルマフラーも　もらったので気分で変えてもいいだろう


　　




そしてコレ、これですよ・・・　（フフフ）

ツインカムですよ　　ＤＯＨＣ

ＫＬＸ譲りの強心臓がそこらへんのストリートバイクとは一線を画している


まさにこいつは

羊の皮を被った　･･狼　(ニヤリ)



ネットで調べたのだが、シェルパの持病
とかでヘッド廻りからオイル滲みがある
車両がたまにあるらしいが、別に気にしない。


オイルが循環している証だろう


そもそも、そんなこと気にしてたらカワサキ車には乗れないと、あるネットにかかれていた






写真が逆さまだが　　　オマケでスプロケ、マニュアルもつけてくれた







四時間半かけて無事帰宅






さっそく付近の田んぼ道を

プチ暴走してみた


クククク　これこれ　これですよ




１５年ぶりに跨るバイクはとても速く感じた。


ただ、ヒラリヒラリと軽やかに乗れないので

しばらくリハビリが必要だろう






「赤男爵」　の店員いわく


「シェルパって性能はいいんですけど・・・・カッコ悪いんですよねえ～」

などと言っていたのを思い出すが、

なんの、なんの・・なかなかじゃないですか

シブイとか、カックイイイ～～ではないが　なかなかキュートじゃないですか





少なくとも今時の宇宙船のようなオフ車に較べれば、昭和っぽくて親近感と愛着が湧く





とりあえずその夜は愛読書を読みイメージトレーニングをした





今回はいい買い物が出来た

価格は驚く程安い！　という訳ではないが、
バイク屋で購入するのと比較すると十万以上安いと思う

しかも、バイクの状態が想像以上だったので満足している

ヤフオク万歳だ




来年は北海道とかいう所にでも　いってみるか・・・・・

などと思う　今日この頃です










ぽちっとしてやるか。。

という優しい方は　m(_ _)m
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